はじめに
住宅ローンを組むとき、誰もが最初に悩むのが「変動金利」と「固定金利」――どちらを選ぶべきか?という問題です。
この選択は非常に重要で、金利の違いによって最終的な返済総額にして数百万円から、場合によっては数千万円もの差が出ることもあります。
たとえば、3,500万円のローンを35年で返済すると仮定した場合:
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変動金利:0.5%
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固定金利:1.5%
という設定だと、総返済額の差は約1,000万円にもなります。これは車が1台買えるどころではなく、子どもの大学4年間の学費がまかなえるレベルのインパクトです。
では、この重要な選択において、金融や不動産の実務の現場ではどちらが選ばれているのか?
答えは明確で、圧倒的に「変動金利」が選ばれているというのが実情です。
実際に、銀行のローン担当者、住宅販売の営業マン、ファイナンシャルプランナー(FP)といった金融の専門家たち――つまり住宅ローンの中身を熟知している人たちでさえ、例外なく変動金利を選んでいるケースがほとんどです。
本記事では、そんな変動金利・固定金利それぞれの特徴や、どんな人に向いているのかを分かりやすく解説しながら、「なぜ実務の現場では変動金利が支持されているのか?」を深掘りしていきます。
1. 変動金利とは?
変動金利は、名前の通り金利が定期的に見直されるタイプの住宅ローンです。一般的には半年ごとに金利が見直されますが、返済額(元利均等返済の場合)が変わるのは5年ごと、さらに増加幅には上限(通常は1.25倍まで)があるため、急激な負担増にはなりにくい仕組みになっています。
メリット
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金利が非常に低い(2025年現在でも0.3〜0.5%が主流)
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その分、月々の返済額が安く抑えられる
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元本の減りが早く、繰上返済による利息削減効果も高い
デメリット
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将来的に金利が上がる可能性がある
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金利の動向によっては、返済額が増えるリスクもゼロではない
ただし、過去20年以上にわたって日本の金利は歴史的な低水準が続いており、昨今は若干上がり気味ではありますが、それでもまだまだ低金利の状態です。
2. 固定金利とは?
固定金利は、契約時の金利が返済期間中ずっと変わらないタイプのローンです。
メリット
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返済額が変わらないため、家計管理がしやすい
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金利上昇リスクがないという「精神的な安心感」がある
デメリット
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初期の金利が高め(現在は1.3〜1.7%程度が一般的)
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その分、月々の返済額が高くなりやすい
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長期で見た場合、支払う利息が非常に多くなる傾向
固定金利は、「将来何があるかわからないから、金利を固定しておきたい」という方に一定のニーズがありますが、コスト面では圧倒的に不利になりやすい選択です。
3. 実務ではどちらが選ばれている?
ここがこの記事の核心とも言えます。
不動産営業、住宅メーカー、銀行、保険、FP――どの現場でも共通して聞かれるのが、
**「お客様の9割以上が変動金利を選んでいる」**という声です。
そしてさらに驚くのは、銀行員自身やFPといった金融のプロたちも、ほぼ例外なく変動金利を選んでいるという事実。
なぜか?
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金利が長年ほとんど上昇していない
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万が一上がったとしても、数年の猶予と調整の仕組みがある
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それよりも、固定金利との差額が大きすぎる
具体的には、3,000万円のローンを35年で借りた場合、金利差が1%あるとすると、
利息総額の差は約600〜1,000万円。この差を「安心代」として支払うかどうかは、慎重に考える必要があります。
4. 固定金利が向いている人とは?
とはいえ、全員が変動金利を選ぶべきだというわけではありません。以下のようなケースでは、固定金利のほうが安心感を得られるかもしれません。
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収入が不安定な人(フリーランス、契約社員など)
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家計にあまり余裕がなく、支出の変動に耐えられない人
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今後、共働きから片働きに切り替わる予定がある家庭
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心理的に「変動」にストレスを感じやすい人
このように、固定金利には精神的な保険という価値があります。
ただし、その「保険料」が数百〜数千万円になるということは、忘れてはいけません。
おわりに
住宅ローンにおける「変動金利 vs 固定金利」の選択は、安心を取るか、コストを抑えるかというトレードオフです。
固定金利には確かに「金利が上がっても安心」というメリットがありますが、その分、長期的に見ると支払い総額に大きな差が生まれます。
そして、実際の現場――金融機関や不動産業界の中では、圧倒的に変動金利が選ばれているのが現実です。銀行員、FPなど、ローンのプロたち自身もほぼ変動を選んでいるというのは、大きなヒントになるはずです。
もちろん最終的には、あなた自身のライフスタイル、価値観、リスク許容度に応じて選ぶことが何より大切。
でも「周りはどっちを選んでるの?」という疑問には、こう答えられます。
「実務のプロは、みんな変動金利を選んでいます」
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